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 ウォッシュアウト期間

  (wash-out期間)
 治験を開始するに当たり、それまでに投与していた薬(前治療薬)の影響を排除するために、治験薬投与前に「休薬期間」(薬を何も投与しない期間)を設ける事。
  正確な治験薬の評価を行う上で必要な処置であり、また、前治療薬と治験薬との相互作用による副作用を防ぐ意味もある。
 モーニングアフターピル  モーニングアフターピルは事後ピルあるいは緊急避妊薬とも呼ばれるもの。避妊していない状態あるいは避妊に失敗した状態での性交渉の後、望まない妊娠を防ぐため、緊急の手段として使われるもの。性交後72時間以内に、既に妊娠していないことを確認した上で、レボノルゲストレル(黄体ホルモン)とエチニールエストラディオール(卵胞ホルモン)を一定量摂取し、さらに12時間後に同量を摂取すると、妊娠回避の効果があるというもの。回避率は75%(24時間以内に服用をはじめると95%としている資料もある)で、一般的な副作用として吐き気、嘔吐を伴う。
 β遮断剤

  米国では標準的な抗不安薬
 β遮断剤は米国では標準的な抗不安薬として認められ、パニック障害にも使用されている。この薬は心拍数を抑え、降圧作用があるので内科では発作性頻脈症や高血圧症の患者に処方される。パニック障害に使用されるβ遮断剤は心臓の神経に直接作用して心悸亢進を抑えるだけでなく、脳内ノルアドレナリンのβ受容体にも作用して不安を抑える作用も持っている。β遮断剤は動悸の激しいパニック発作のある患者さんに適応となる。この薬は気管支収縮作用を持っているので、ぜんそく持ちの人には危険。血圧が低すぎる人は注意して服薬。
 DPP試験で
   見直されたビグアナイド
 乳酸アシドーシスの副作用により敬遠されてきたビグアナイド系薬(塩酸メトホルミン)だが、肥満を伴う2型糖尿病患者では血糖コントロールの改善のみならず、体重の減少、脂質代謝の是正をもたらし、また、肥満 IGT においては2型糖尿病の発症を有意に抑制することが明らかになった。

 DPP試験:(Diabetes Prevention Program)は、前述の2型糖尿病ハイリスク者約3200人を対象に、米国で行われた介入試験。
【参考】 糖尿病予防プログラム(米国)の読み方


 CRA

(Clinical Research Associate)
 治験モニタリング担当者の略称。
医薬品開発において、治験依頼者により任命され、モニタリングを担当する者。(治験実施施設において、治験が実施計画書等を遵守し、適正に行われているかどうかを監視、確認すること)
CRAは、どちらかといえば、主に米国でよく用いられる呼称。
 双極性障害

  (bipolar disorder)
 気分障害の一つ。躁鬱病とも言う。
症状としては、躁状態と鬱状態が交互に表れる。鬱状態から急に躁状態になること(躁転)はまれでなく、一晩のうちに躁転することもある。うつ病とは違って100人に1人位しかかからない病気で、再発率が高いので、生涯にわたる予防療法が必要となる。原因としては、シナプスとセロトニンやノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質による伝達機構に障害が生じるためと考えられており、遺伝的要素が指摘されている。(モノアミン仮説)
  予防薬(抗躁薬)には、リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸などがある。
 喘息と精神疾患  Are psychiatric disorders associated with worse asthma control and quality of life in asthma patients?

 喘息患者に精神疾患の率が多いことが報告されている。
 34%が1つ以上の精神疾患を有し、大うつ病(major depression)(15%)、軽度うつ病(minor depression)(5%)、
気分変調性障害(dysthymia)(4%)、panic disorder(12%)、全般性不安障害(generalized anxiety disorder)(5%)、
社会恐怖症(social phobia)(4%)。
 精神疾患は喘息コントロールの不良リスクとなりうる。


 HbA1c  過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均値を知るための検査値のこと。
Hb(ヘモグロビン)とは、赤血球の中にある赤い色素。 Hbは血液中の糖と結合。血糖値が高いほど、また高い状態が長く続くほど、Hbは血液中の糖とどんどん結合する。また一度、糖と結合すると、なかなか元に戻らなくなる。 糖と結合したHbの割合(%)を測定するのがHbA1c。 過去の血糖の状態が把握できる。
 一般論としては、HbA1c6.5%以下が目標。この値は、Kumamoto studyという臨床試験がひとつの根拠になっている。6年間の経過で、空腹時血糖値<110mg/dl・ 食後血糖値<180mg/dl、HbA1c<6.5%を達成できていると、三大合併症の発症・進展がなかった、と報告されている。
 諸外国では、HbA1c 7%未満が、血糖コントロールの目標として採用されている場合が多い。 HbA1cが上昇するにつれて、三大合併症は起こりやすくなるが、 HbA1cが8.0%を超えると、合併症が非常に起こりやすくなることがわかっている。
 アンジオテンシンII受容体拮抗薬
   主な臨床効果
 降圧薬
 心筋梗塞後の予後改善
 心不全の治療や心肥大の退縮(臓器保護効果)
 腎不全の進行遅延
 インスリン抵抗性の改善(糖尿病の発症予防)
 糖尿病の三大合併症、動脈硬化症

 糖尿病の治療は、合併症を防ぐのが目標。
 1.目の病気(糖尿病性網膜症) :成人における失明原因の第1位であり、毎年約3000人が失明。
 2.腎臓の病気(糖尿病性腎症):新規人工透析の第1位で毎年約11000人が透析導入となっている。
 3.末梢神経の病気(糖尿病性神経障害):手足のしびれや痛み、感覚が鈍くなる、下痢や便秘、ED(勃起障害)などが起こってしまう。
 4.糖尿病は小さな血管だけではなく、大きな血管にもダメージを与える。心臓の血管がダメージを受けると狭心症や心筋梗塞に。頭の血管がダメージを受けると脳梗塞に。足の血管がダメージを受けると閉塞性動脈硬化症という病気に。



 喫煙は「病気」


  9学会、初の治療指針
 たばこを吸うのは「ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」であり、患者(喫煙者) には「積極的禁煙治療を必要とする」。日本循環器学会など九学会の合同研究班が十月十八日までに、「禁煙ガイドライン」を作った。一般医師向けの初の治療指針で「たばこを吸わない社会習慣の定着」が目標。カウンセリングや患者自身でできる行動療法の 具体例に加え、女性には美容にも悪影響であることを知らせるなど、患者に応じた治療 方針を盛り込んでいる。
  指針は、禁煙に効く行動療法として「喫煙者に近づかない」「吸いたい衝動が収まる まで秒数を数える」などを挙げた。
  また、禁煙の意思がある患者には、自分で禁煙計画を作らせ「節煙より早道」「開始 直後はアルコールを控える」とカウンセリングを実施。意思のない場合は、呼気中の 一酸化炭素濃度を測って教え動機付けに役立てる、とした。
  薬物療法では、ガムやパッチを使うニコチン代替療法を推奨した。離脱症状が軽く 成功率を高め、禁煙による体重増加を遅らせる効果もある。一方で、治療中の喫煙は ニコチンの過剰摂取につながるなど注意も必要だ。
  未成年には頭ごなしの言い方を避け、喫煙が病気であることを理解させる。女性では しわ、口臭など美容にも影響することを知らせるなど、患者に応じた指導を強調している。
  医師にも、日本の男性医師の喫煙率は20%強で、欧米の医師(男女)の5%前後に 比べて高い、と自省を求めた。たばこの値上げや広告禁止など、社会環境の整備の 必要性も指摘した。 指針は十一月以降、循環器学会などのウェブサイトに掲載される。

  研究班長の藤原久義岐阜大教授(循環器内科)は「自分の意思で喫煙をやめられる のは5〜10%程度。すべての医師が患者の喫煙を把握し、治療を勧めることが必要だ」と話している。  
■喫煙と健康被害 たばこの煙は、ニコチンや発がん物質など多くの有害物質を含む。
喫煙はがんの原因では単独で約30%を占め、呼吸器、循環器、消化器など、さまざまな 部位に病気をもたらす。喫煙男性の妻の肺がん死亡率は非喫煙男性の妻より高く、 家庭内の喫煙で子供の肺炎、気管支炎なども増えるなど周囲への影響も大きい。

  病気:肉体の生理的なはたらき、あるいは精神のはたらきに異常が起こり、不快や苦痛・悩みを感じ、通常の生活を営みにくくなる状態。やまい。疾病。


http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20051018AT3K1800A18102005.html
 ホモシステイン
   (動脈硬化の危険因子)

  正常範囲内であっても高ければ
   段階的に虚血性心疾患などの
    動脈硬化性疾患のリスクが上昇する。
 高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病、肥満などの動脈硬化の危険因子に加え、ホモシステインが新たな動脈硬化性疾患の危険因子として注目されている。
  心筋梗塞の発作を起こした人の2割程度にしか高コレステロール血症がみられない。
  ホモシステインが酸化される過程で酸素ラジカルを生じ、血管内皮障害、血小板の凝集により血栓をひき起こし血管を障害します。また血管壁の平滑筋細胞の増殖や、コラーゲン線維の過剰な合成を引き起こし血管の肥厚、硬化をもたらします。以上の作用等によりホモシステインは動脈硬化をひき起こす。
  血中のホモシステイン濃度の基準値は男性8.2〜16.9μmol/l,女性6.4〜12.2μmol/l。女性では閉経後に高値となることが知られている。また腎不全ではホモシステインの排泄障害も加わり高くなりやすい。


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 西ナイル熱

  (West Nile virus)
病原体:ウエストナイルウイルス
好発年齢:脳炎は高齢者に多い
性差:なし
分布:アフリカ、中近東、西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
好発時期:温帯地域においては夏季
感染経路:感染蚊が刺すことによる
潜伏期間:2〜14日(通常2〜6日)
感染期間: 発熱2日前から発熱4日後までは、血中にウイルスが認められることがあるが、直接の感染源となることはないと考えられている。通常は、急性感染であると考えられている。

症状:ウエストナイル熱:突然の発熱(39度以上)、頭痛、筋肉痛、時に消化器症状、発疹(胸、背、上肢)・ウエストナイル脳炎:筋力低下、頭痛、意識障害、痙攣
治療のポイント:対症療法のみ
 フラミンガム・スタディ  長期間にわたるフラミンガム地区の住民を対象にした心血管系疾患の危険因子を探る調査研究。フラミンガムとは米国・ボストンの郊外の小さな町の名前。選ばれた理由は「町に総合病院がひとつしかなく住民の健康状態の把握が容易。人口の移動が少ない」など。

 30歳から62歳の住民5209人を対象に1949年から疫学調査がスタート。2年ごとに追跡検査を行い、20年間に80パーセントの人々が毎回検査を受けた。「調査が6年くらいたってくると、狭心症になる人や心筋梗塞になる人が高血圧の人に多いことがわかってきた」

 さらに、他の研究なども加わって、心臓病を増やす危険因子は冠状動脈の動脈硬化の危険因子でもあることがしだいにわかってきた。「男性の方が女性よりも心疾患になりやすいのですが、これは生まれつきのもので変えられない要素」そして、心臓病の5大危険因子がはっきりした。高血圧、高脂血症、喫煙、糖尿病、肥満。
 ダイレクトOTC

    (Direct OTC)
 ある程度の期間、医療の現場で実際に使用され、安全性と有効性が認められると、医療用医薬品から一般用医薬品に転用(スイッチ)することが認められる医薬品のことを「スイッチOTC」と呼ぶ。

 しかし、中には、新しい有効成分が、医療用医薬品という段階を経ずに、直接(ダイレクトに)一般用医薬品として、申請され承認される場合がある。このようなタイプの医薬品を「ダイレクトOTC薬」(Direct OTC Drug)と呼ぶ。代表的なダイレクトOTCは、発毛・育毛の効果のある成分「ミノキシジル」、製品名「リアップ」。血圧降下剤として本来は開発されたが、開発中に副作用として発毛効果が認められたことにより、あらためて発毛剤として開発され医薬品となった。
 グーグル・スカラー

   (Google Scholar)
 学術関連の論文や記事を検索できるグーグル・スカラー(Google Scholar)。 http://scholar.google.com/  
 キーワードを入力して検索を実行すると、関連した論文などの一覧が表示される。その論文が引用されている論文や書籍を、芋づる式に検索することが可能。
 検索結果は、引用された回数の多い順に並べられるので、有用な論文を見つけやすい。
 引用も同時に調べられるのでPubMedよりも使いやすいかも知れない。新分野に首を突っ込むときには普通の検索よりも使い勝手がいい気がする。
 経過記録

  (progress notes)
 薬剤師もSOAPを用いて薬歴を書くように! 医師・看護師では常識。
 S: subjective data:主観的情報 患者さんの言ったこと。
 O: objective data:客観的情報 患者さんの行動、表情、検査データ、処方内容。
 A: assessment:判断評価 S・O情報からの薬剤師としての判断、コメント。
 P: plan:計画 S・O・A情報から薬剤師が計画立案した情報。