消化と吸収 | *ヒトは必要な物質を摂取しなければならない。 *消化とは食物中の栄養素を吸収可能な状態に変化させることである・・・蛋白質、デンプン、脂肪などはそのままの形で吸収されない。吸収可能な形に変化させているのはさまざまな消化酵素である。 *蛋白質はアミノ酸の形で吸収される・・・蛋白質はアミノ酸がたくさんつながったものである。プロテアーゼ(蛋白質分解酵素)にはペプシン、トリプシン、キモトリプシンなどがある。吸収されたアミノ酸は門脈から肝臓に運ばれる。 *デンプンは単糖類の形で吸収される・・・テンプン(アミラム)の分解酵素をアミラーゼという:アミラーゼはこの長いブドウ糖の鎖を2個ずつに切り、二糖類にする。二糖類はさらに腸の消化酵素で切られて単糖類になり、単糖類の形で吸収される。吸収された糖は門脈から肝臓に運ばれる。 *脂肪は脂肪酸とグリセリンの形で吸収される・・・脂肪(リピッド)の分解酵素をリパーゼという。吸収された脂質はリンパ管に入る、脂質は門脈に入らない。リンパ管は集まって胸管となり、最終的には静脈に注ぐ。 *吸収とは消化によってできたアミノ酸、糖、脂肪酸、グリセリンなどを体に取り入れることである。 |
消化管 | *消化器は1本の管でありこれに付属物がついている・・・この管を消化管という、口腔→食道→胃→小腸→大腸→肛門。付属物には肝臓、胆嚢、膵臓や唾液腺などがある。 *消化器からは大量の消化液(10g)がでる・・・消化液はいろいろな消化酵素を含む。 *消化は副交感神経により亢進する・・・副交感神経は迷走神経である。消化はホルモンによっても亢進する。 *食物はまず歯でかみくだかれる・・・かみくだくことを咀嚼という。永久歯は32本、乳歯は20本である。唾液はデンプンを分解する。唾液は唾液腺から分泌される。 *飲み込むことを嚥下という・・・嚥下時には気管が閉じる。飲み込めないことを嚥下困難という。 |
食道・胃 | *食道では蠕動により食物を胃に運ぶ、所要時間は1〜数秒。 *胃液にはペプシン、塩酸、粘液が含まれている・・・ペプシンは蛋白質分解酵素である。塩酸は殺菌作用やペプシンをはたらかせる作用がある。粘液は胃自身が消化されるのを防いでいる。 *胃液分泌は迷走神経とガストリンによって亢進する・・・食事のことを考えただけでも胃液分泌は亢進する。食物が胃に入ると迷走神経は興奮する。食物が胃に入るとガストリンが分泌される。ガストリンは胃液分泌を亢進する。 *嘔吐は腹腔内圧亢進によっておこる・・・嘔吐は胃が正常でもおこる、悪心は嘔吐の一歩手前。嘔吐が続くとアルカローシスになる。 |
膵液 | *食物が十二指腸に送られると膵液と胆汁が出る・・・膵液と胆汁はアルカリ性である。胃から送られてきた食物は胃酸により酸性である。しかしこれに膵液と胆汁が加わることにより最終的にはアルカリ性になる。 *膵液はホルモンと迷走神経の両者で分泌が増える・・・ホルモンにはセクレチンとパンクレオザイミンとがある。セクレチンとパンクレオザイミンは腸が分泌するホルモンである。 *膵液はデンプンも脂肪も蛋白質もすべて分解できる・・・膵液はアミラーゼを含み、睡液で分解されそこなったデンプンは膵液で麦芽糖にまで分解される。膵液はプロテアーゼを含み、トリプシンとキモトリプシンである。膵液はリパーゼを含み、脂肪の消化で重要な役割を果たしている。 *膵臓は内分泌の作用ももっている・・・膵臓は外分泌腺と内分泌腺との混合物である。 |
胆汁 | *胆汁は肝臓で作られ胆嚢に蓄えられる・・・胆嚢は胆汁の濃縮と貯蔵とを行なっている。胆嚢はコレシストキニンにより収縮し胆汁が分泌される。食物が十二指腸に到達するとコレシストキニン(パンクレオザイミン)が分泌され膵液分泌と胆汁分泌がともに亢進する。 *胆汁には胆汁酸塩、胆汁色素、コレステロールなどが含まれている。 *胆汁は脂肪の吸収を助ける・・・胆汁自身には消化酵素は含まれていない。胆汁が不足すると必須脂肪酸が欠乏する。胆汁が不足すると血が止まらなくなる。 *毒物は胆汁中に排泄されることもある・・・胆汁は尿と同じような排泄物とも考えることができる。 |
腸の吸収と 消化 |
*小腸は十二指腸、空腸、回腸とに分けられる・・・十二指腸は手指を横に12本ならべた長さがある。空腸と回腸の境目ははっきりしていない。腸内は弱アルカリ性である。 *腸は消化の最終段階と吸収とを行なう・・・小腸で二糖類は単糖類に分解される。小腸でペプチドはアミノ酸に分解される。小腸では脂質も分解される。腸では水や電解質の吸収も行なっている。 *小腸が吸収の基本部位である・・・大腸では水を吸収するが栄養素の吸収はしていない。食物は大腸で水分を吸い取られだんだん固くなってくる。 *小腸の表面積はテニスコートくらいの広さがある・・・面積が広いほど吸収には有利である。 |
腸機能の調節 | *腸はミミズのような動き方をする・・・消化管の運動は平滑筋の収縮による。歯みがきチューブをしごくのが蠕動運動である。歯みがきチューブのあちこちを押さえるのが分節運動である。 *腸は多数のニューロンをもっている・・・迷走神経が興奮すると腸の運動全体が亢進する。 *腸はホルモンも分泌する。 *腸内には一定の細菌が住んでいる・・・大腸では常在細菌により食物の分解がおこる。細菌による分解は発酵あるいは腐敗などとよばれ、便のにおいはこの腐敗のせいである。 *排便は随意機能と不随意機能との共同作業である・・・グリセリン浣腸は排便を促す。 |
肝臓の仕事 | *肝臓は多彩な仕事をしている・・・人工肝臓は不可能である。 *肝臓ではさまざまな代謝を行なっている・・・肝臓ではグリコーゲンの分解や合成を行なっている。肝臓では脂肪やコレステロールの分解や合成を行っている。肝臓では蛋白質の合成を行なっている。肝臓ではアミノ酸の分解を行なっている。 *肝臓では解毒を行なっている・・・肝臓は毒物や有害物質を無毒化したり分解したりする。肝臓はアルコールの分解もしている。 *肝臓では胆汁を作っている・・・肝臓は胆汁を分泌する外分泌腺である。 *肝臓は貯蔵庫である・・・肝臓は鉄やビタミンを貯蔵している。 *肝臓は再生力が強い。 |
ビリルビンと 肝機能検査 |
*肝臓はヘモグロビンの代謝こ重要な役割を果たしている・・・使用済のヘモグロビンはビリルビンになる。ビリルビンは肝臓で代謝され胆汁中に捨てられる。ビリルビンは非抱合型と抱合型とに分けられ、肝臓で抱合を受ける前のビリルピンを非抱合型ビリルビンもしくは間接ビリルビンといい、抱合後を抱合型ビリルビンもしくは直接ビリルビンという。肝臓と胆道の機能が正常でなければビリルビンをうまく捨てられない。ビリルビンの血中濃度が異常に上昇したものが黄痘である。 *血液を調べると肝臓の機能がわかる・・・肝臓の検査を肝機能検査という。肝障害ではGOTが上昇する。肝障害ではアルブミンが低下する。肝障害ではコレステロールが低下する。肝障害があると出血しやすくなる。 |