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感覚
刺激と感覚 *感覚とは体の内外の状態を知るためのものである・・・感覚は感覚受容器で感じとる。感覚は中枢神経(脳・脊髄)に伝えられる。感覚には自覚できるものと自覚できないものとがある。自覚できる感覚は刺激が大脳皮質まで到達している。
*目は光だけを感じ、音は耳でのみ感じる・・・ある感賞受容器はその目的の感覚のみを感じる。
*感覚受容器を興奮させるものを刺激という・・・感覚の強さは刺激の強さに1対1で比例するわけではない。刺激が持続すると次第に感度が低下してくることがある(大便臭)。
*感じとれる最低の刺激の強さを閾値という・・・閾値より強い刺激は感じられ、閾値より弱い刺激は感じない。閾値が低いものほど鋭敏である。
*感覚障害には感覚受容器の異常と神経の異常とがある・・・感覚受容器と神経とがともに正常の時のみ正常の感覚が得られる。
皮膚感覚と
  深部感覚
*皮膚では触圧覚、痛覚、温覚、冷覚を感じる・・・これらは触圧点、痛点、温点、冷点で感じる。感覚点の部位にはその感覚を伝える知覚神経がきている。皮膚の感覚点は痛点が最も多く温点が最も少ない:痛点>触圧点>冷点>温点の順である。感覚点の検査にはウマの毛を用いる。臨床での触圧覚の検査には柔らかい毛筆を用いる。振動覚は音叉で検査する。
*皮膚感覚は部位により差がある・・・2点を2点とわかる最低距離を2点閾値という。2点閾値は指先や口唇などで低く、大腿や背中などは高い。
*骨格筋の収縮の程度や関節の曲がり具合などの情報を深部感覚という・・・目をつぶっても手足の位置や動きの程度はわかる、筋紡錘から情報が送られる。
*皮膚のある特殊な部位を刺激すると特徴ある反応がおこる・・・バビンスキー反射は病的反射の代表である。
痛覚と
  内臓感覚
*痛覚は危険を知らせる信号である・・・痛覚は皮膚のみならず内臓でも感じる。強い刺激は痛みとして感じる。
*痛覚は皮膚、腹膜、骨膜などでよく感じる・・・痛みは精神状態により変化する。鎮痛薬は脳の痛覚神経を抑えているらしい。
*内臓の痛みを皮膚の痛みとして感じることがある・・・関連痛は診断に利用できる。
*有益な情報でない痛みもある・・・痛みが激しいと血圧が上昇する。
*内臓は痛覚以外にもさまざまな感覚を感じる・・・内臓感覚には食欲、空腹感、口渇感、嘔気(はき気)、尿意、便意などがある《これらは意識にのぼるものであり、身体の原始的な欲求の現われ》。内臓感覚には体温、血圧、血液の浸透圧、pH、血糖値などもある《これらは意識にのぼらないもの》。内臓感覚は特殊な感覚受容器で感じとっている。
視覚と眼球 *目は脳の一部である。
*涙液には殺菌、洗浄、栄養作用などがある。涙液は涙腺より分泌され、鼻涙管を通って鼻腔に流れる、泣くと鼻水が出る・・・まばたきは意識的にもできるが、角膜刺激などにより反射的にも行われる。
*左石の眼球は常に連動して1つの目標を見ようとしている・・・これらの筋肉は骨格筋であり、外眼筋または動眼筋という。近くのものを見るときは輻輳がおこる。両眼視により立体感が得られる。
*ある1点を見つめているときに見えている範囲を視野という・・・視神経乳頭部に一致して視野の欠損がある。左右の視神経は半分だけ交叉し、反対側の脳に入る。右半分の像は左右の眼球とも左の大脳に伝えられる。
*瞳孔が開くことを散瞳といい、縮小することを縮瞳という・・・虹彩には瞳孔を聞く平滑筋と縮小させる平滑筋の2種類の不随意筋が存在する。瞳孔の大きさは交感神経と副交感神経とのバランスで決まり常に左右同じである。
視力と網膜 *像をはっきりと網膜上に写すために、水晶体の厚さが変化する・・・水晶体の厚さを変えているのが毛様体である。近視の矯正には凹レンズを用いる。レンズの強さにはジオプトリー(D)という単位を用いる。角膜などの屈折率が縦方向と横方向とで違いがあるのが乱視である。
*視力は眼の識別能を表わしたものである・・・視力はランドルト環で測定する。
*眼底を眼底鏡でのぞくと網膜や血管が見える・・・動脈硬化があると眼底の動脈は「硬く」見える。脳内の血管の変化と同様なことが眼底でも生じている。
*網膜の錐状体と杆状体が直接の光受容器である・・・錐状体は暗いと働かないが色が分かり杵状体は暗くても働くが色は分からない。黄斑部には錐状体がぎっしりつまっている。錐状体には、赤、緑、青の色にそれぞれ反応する3種類の物質が含まれている。暗順応により暗い所でも見えるようになる。
聴覚 *耳の構造は、外耳、中耳、内耳に分けられる・・・鼓膜は皮膚の一種である。中耳と鼻腔は耳管でつながっている。外耳と中耳は内耳に昔を効率よく伝えるための音の通路である。音をを感じとっているのは内耳にある蝸牛という部分である。音の高低はHz(ヘルツ)で表わす。音の強さはdB(デシベル)で表わす。内耳でとらえた音は神経が大脳皮質へ伝える。
*聴覚の経路は音の経路と神経の経路とに分けられる・・・音のの物理的な経路を伝音系という。聴覚の神経の経路を感音系という。
*聴力障害を難聴という・・・難聴には伝音系の難聴(中耳炎)と感音系の難聴(内耳・脳の異常)とがある。音の高さにより聴こえ方が違う。高齢者では高音が聴きとりにくくなる。職業性難聴の聴力障害は4000Hz付近で著しい。言葉が聴きとれないほどの高度の難聴を聾という(90dB以上)。
平衡感覚・
 味覚・臭覚
*内耳では聴覚ばかりでなく平衡感覚も感じとっている・・・平衡感覚は内耳が重要な役目を果たしている、内耳には三半規管と前庭という部分がある。三半規管は体の動きを感じとっている。前庭では体の向きを感じとっている。
*「めまい」には大きく2つの状態がある・・・めまいにはまわりが動いて見える状態(回転性めまいといい、内耳の障害で生じる)と、自分の身体の平衡を保てなく状態(非回転性めまいといい、中枢神経系の障害で生じる)とがある。乗り物酔いは平衡感覚の異常から生じる。
*味覚は味蕾で感じとる・・・味蕾は口腔内とくに舌表面の乳頭に多く存在している。基本的味覚には、甘味、酸味、塩味、苦味がある。食物の味は味覚だけでなく総合的に形成されたものである。
*嗅覚受容器は鼻腔の最上部の鼻粘膜中にある・・・嗅覚は下等な動物でさえかなり発達している。嗅覚は順応が強い。