痛風の病態生理
※痛風の概念、疫学
 尿酸が組織に蓄積する病態を背景として、尿酸結晶による関節炎と尿路結石を生じたもの。 圧倒的に男性に多い。 これは女性ホルモンが尿酸の排泄を促進するからである。したがって思春期以前では男女差がない。


※尿酸値、痛風、高尿酸血症
尿酸値の平均値は年齢や性別によって多少変動があり、男性で4.0〜6.5mg/dl、女性では3.0〜5.0mg/dlが正常と言われている。ただし、男女ともに7.0mg/dl以上になると「高尿酸血症」と呼ばれる。痛風は高尿酸血症が持続した結果として関節内に析出した尿酸塩が起こす結晶性関節炎であり、痛風と高尿酸血症は同義ではない。


※分類
痛風患者の95%以上は病因を特定できない原発性痛風である。
◎尿酸産生過剰型 10%(尿酸産生量の増加) EUA(尿中尿酸排泄量)>0.51mg/kg/h
◎尿酸排泄低下型 60%(尿中尿酸排泄能の低下) CUA(尿酸クリアランス)<6.2ml/min
◎混合型 30%


※病期分類
1)無症候性高尿酸血症 :高尿酸血症が続いても自覚症状がみられない時期。通常、数年間無症候の時期が存在する。
2)急性痛風性関節炎期 :痛風発作(急性痛風関節炎)が間欠的に起こる時期。一般には明らかな前駆症状を欠き、2〜3時間以内に単一関節または関節周囲組織の発赤、腫 脹をきたし、歩行や睡眠を障害するような激痛を伴う。
3)間歇期痛風 :急性通風性関節炎の症状が完全に消失し、無症状の時期。無治療 の場合、多くの症例で6カ月から2年以内に同様の発作が繰り返れ、次第に発作の強さ 持続時間が長くなり、発作までの間隔は短くなる。
4)慢性痛風性関節炎 :関節炎が持続的に存在する時期。尿酸が尿酸ナトリウムの形で軟 骨、腱、軟部組織などに析出し、耳介、肘関節伸側、趾根関節などの皮下には無痛性のトーフス(痛風結節)を形成する。


※痛風性関節炎の診断基準
<1>尿酸塩結晶が間接液中に存在すること。
<2>痛風結節の証明。
<3>以下の項目のうち6項目以上を満たすこと。
  (イ)1回以上の急性関節炎の既往があること。
  (ロ)24時間以内に炎症がピークに達する。
  (ハ)単関節炎である。
  (ニ)間接の発赤がある。
  (ホ)母趾基関節の疼痛または腫脹がある。
  (ヘ)片側の母趾基関節の病変である。
  (ト)片側の足根関節の病変である。
  (チ)痛風結節(確診または疑診)がある。
  (ヌ)血清尿酸値の上昇がある。
  (ル)X線上の非対称性腫脹がある。
  (オ)発作の完全な寛解がある。


※痛風関節炎の診断上の注意点
1. 痛風発作中の血清尿酸値は低値を示すことがあり、診断的価値は高くない。
2. 関節液が得られたら迅速に検鏡し、尿酸塩結晶の有無を同定する。
3. 痛風結節は診断的価値はあるが頻度は低い。
(1) 痛風は特徴的な急性関節炎である。診断基準は有用であるが、病因である尿酸塩を関節液中に同定することにより確定する。
(2) 血清尿酸値が7.0mg/dlを超えるものを高尿酸血症と定義する。性・年齢を問わない。


※痛風関節炎に適応のあるNSAIDs



※治療方針





高尿酸血症治療薬の服薬指導例
コルヒチン この薬は痛風発作時の激しい痛みを抑える薬。ただし、痛風を根本から治す薬ではない。
ザイロリック 体の中で尿酸が作られるのを抑えることによって、血液中の尿酸を滅し、体のいろいろな場所(足指の関節(特に親指の付け根)、足首、ひざ,ひじ、手の関節など)に尿酸が結晶となってたまってくるのを抑る薬。
ユリノーム 尿細管で尿酸が再び吸収きれるのを抑えて、尿酸が尿中へ排泄されるを促進することよって、体のいろいろな場所(足指の関節(特に親指付け根)、足首、ひざ、ひじ、手の関節など)に尿酸が結晶となってまってくるのを抑える薬。
ウラリット
ウラリット-U
体の尿酸値が高く尿中への尿酸の排泄が多い時、尿が酸性では尿管結石ができやすいため、尿をアルカリ化して尿酸結石を防ぐ薬。





日常生活指導

(1)高尿酸血症の生活指導は、食事療法、飲酒制限、運動の推奨が中心となる。
(2)食事療法としては、適正なエネルギー摂取、プリン体の過剰摂取制限、尿の酸性度を高める傾向の強い食品の制限、十分な飲水などがあげられる。
(3)有酸素運動は、血清尿酸値に影響せず、高尿酸血症に合併しやすい種々の病態を改善するため奨励できる。


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