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体温
熱の
 産生と放散
*細胞が働くと熱を産生する・・・細胞で代謝が行なわれると必ず熟も発生する。代謝の盛んな細胞や臓器ほど熱の産生量も大きい。食事をすると温かくなる。蛋白質を食べるととくに体が温かくなる。
*骨格筋は最大の熱産生器官である・・・骨格筋は収縮にともない熱を発生する。寒くなるとふるえがくる、骨格筋から熱を作っている。
*熱は体外に放散していく・・・熱は皮膚から放散する。汗をかくと体温は下がる。熱は肺からも放散する。血流の多い所ほど多量の熱が運ばれている。
*体温は熱の産生量と放散量とによって決まる・・・暑いときは熱の放散量を増やす。寒いときには皮膚の血管は収縮し熱の放散を防ぐ。熱の放散が不十分であると体温は上昇する。
体温測定と
 体温の変動
*体温は体の部位や測定時期によって異なる・・・温度は体の中心部ほど高く、表面ほど低い。体温は個人差が大きい。体温は小児では高く老人では低い。体温は同じ安静時でも時期により変動している。
*臨床的に腋窩、口腔,直腸温を体温としている。直腸温、口腔温は腋窩温より少し高い。
*皮膚温は皮膚血流に比例する・・・皮膚の血管が拡張すると皮膚温は上がる。寒いと皮膚の血管は収縮する。
*体温は時刻によって変わる・・・体温は朝低く夕方は高い。体温は性周期にともなって変動する。排卵後の体温は上昇する。早朝覚醒時の口腔温を基礎体温という。
体温中枢と
 発熱
*体温が上がると代謝が増す・・・代謝速度と温度は比例し、基礎代謝が増すと体温も上昇する。甲状腺機能亢進症のような基礎代謝が亢進する病気では体温は上昇する。
*体温は体温中枢が決定する・・・体温中枢は視床下部にある。体温中枢が熱の産生量と放散量とを調節している。暑いと皮膚血管が拡張し、寒いと皮膚血管は収縮する。極端に寒くなるとふるえがおこる。
*感染などがあると体温は上昇する・・・感染や腫瘍などがあると免疫反応がおこり、体温中枢は免疫系からの刺激を受け取り「体温を上げよ」という命令を出す。このような免疫反応を引きおこす物質を発熱物質という。高熱が続くと体力を消耗する。悪寒は体温が急に上がるときにおこる。
*脳の病気でも体温は上がることがある・・・脳卒中や脳腫瘍などでは視床下部の体温中枢が障害され体温の設定が<るうことがある。
*病気により独特な熱型を示すものもある・・・体温の変化は病状観察の重要なポイントでもある。
 汗 *汗と不感蒸散とは異なったものである・・・体内の水分は皮膚から少しずつ漏れ出ている。皮膚は体内の水分を外界と完全に遮断しているわけではなく、体内の水分は皮膚を通過して少しずつもれ出てきている、これを不感蒸散または不感蒸泄という。不感蒸散量は一定である、1日に1g。
*汗は汗腺から分泌される・・・ー般に汗腺とは工クリン汗腺のことである。汗は塩分を含む。大量に汗をかくと脱水になる。
*暑いと汗が出る・・・暑いときの汗を温熱性発汗という。緊張時の汗を精神性発汗という。激辛カレーを食べての汗を味覚性発汗という。
*汗をかくと体温が下がる・・・汗が蒸発するとき熱をうばう、100mlの汗が蒸発すると60kcalの熱をうばい、体重60kgの人の体温を1℃下げる。気温が体温より高くても汗は体温を下げる。