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循環
循環器系

構造
*心臓や血管のように血液を組織に供給する働きめて循環器系という・・・血管の回路には体循環と肺循環とがある。全身に血液を供給するための回路を体循環という。肺に血液を供給するための回路を肺循環という。
*心臓は2つのポンプが合体したものである・・・体循環のポンプの方が肺循環のポンプより強力である。左心系と右心系は圧は違うが拍出量は両者とも同じである。1回拍出量は約70MLである。安静時の拍出量は左心系と右心系ともに毎分約5Lである。
*心臓には4つの部屋と4つの弁がある・・・左心系は左心房と左心室からなり、各出口に弁がついている。左心房と右心房、僧帽弁と三尖弁、左心室と右心室、大動脈弁と肺動脈弁はそれぞれお互いに似た構造をしている。左心系と右心系は中隔で隔てられている
脈拍 *心臓の収縮は脈拍として観察できる・・・脈拍の観察により簡単にさまざまなことがわかる。
*は皮下の浅い所を走っている動脈で触知する・・・脈拍は手首、頚部、鼠径部、足背部などでよく観察できる。脈拍の触知には母指は使わない。
*脈拍には左右差や上下差はない・・・左右差や手足間で差があると血管系の異常が疑われる。
*脈拍は数とリズムだけでなく「高」「低」の変化も観察する・・・脈拍には大小もある。脈拍には遅速もある。
心音 *弁が閉じるとき音がする・・・心音にはT音とU音とがある。心室の収縮開始時に房室弁が閉じる(T音)。心室の拡張開始時に半月弁が閉じる(U音)。病的状態では心雑音がきこえることがある。
*心拍数と脈拍数とは必ずしも一致しない・・・脈拍が抜け落ちた状態を臨床では結滞と呼んでいる。心音の聴診で心拍数を、動脈の触診で脈拍数を観察できる。
*安静時の正常の心拍数はおよそ60〜80/分である・・・心拍数が100/分以上を頻脈という。心拍数が60/分以下を徐脈という。頻脈と速脈とは違う。
刺激伝導系

心電図
*心臓が興奮していく様子を身体の外から眺めたのが心電図である。国立循環器病センターの『心臓のリズム(刺激伝達系)について』にてわかりやすく書かれてます。参考にして下さい。
不整脈 *数もリズムもともに正常な脈以外はすべて不整脈である。
*リズムの異常には大きく2種類がある・・・期外収縮:規則正しいリズムの中に不規則なものが混じりこんでいる。 心室細動:すべての心拍のリズムがバラバラなもの。期外収縮はよく見られる不整脈である。心房細動の心電図はP波が消失し代わりに小さなふるえが見える。心房細動では脈は全く不規則になる。心室細動では数秒以内に緊急な治療が必要である。
*血中カリウム濃度の異常は不整脈をきたす・・・高カリウム血症は心室細動をきたす。心電図では電解質の異常もわかる。
血圧の変動 *血圧は理屈どおりに変動する・・・血圧とは血管壁を押している圧力の強さのことである。血管の場所によって血圧は異なる。体のすみずみまで十分量の血液を供給するには.ある程度の血圧≒60mmHgが必要。
*血圧は血管容量、血液量、心臓の力の3つで決まる・・・血管が拡張すると血圧は下がる。血液量が減ると血圧は下がる。心臓の力が弱まると血圧は下がる。血圧は心拍出量と血管抵抗によって決まる。
*正常血圧は120/80mmHgくらいである・・・運動や緊張で血圧は上昇する。高血圧は160/95mmHg以上のものをいう。原因のわかっている高血圧を二次性高血圧という。
最高血圧と最低血圧 *動脈圧には最高血圧と最低血圧とがある・・・最高血圧と最低血圧との差を脈圧という。平均血圧は最低血圧に脈圧の1/3を加えたものである
*肺動脈圧は大動脈圧より低い。
*静脈圧は動脈圧よりもずっと低い・・・静脈には逆流を防ぐ弁がついている。動静脈圧は体位によって変わる。運動をすると静脈の流れがよくなる。
*中心静脈圧(CVP)はおよそ3〜10cmH2Oである・・・心不全ではその上流にうっ滞がおこる。
血圧測定 *血圧は一般に聴診法で測定する・・・動脈を締めつけると音が発生する。コロトコフ音が発生したときの圧を最高血圧、消失したときの圧を最低血圧とする。締めつけの程度によりコロトコフ音は変化する。測定部位に合ったマンシェットを用いる。
*血圧は触診でも測定できる・・・触診法では脈拍が出現したときが最高血圧であり、最低血圧は測定できない。動脈内に直接管を挿入して測定する方法もある。
末梢循環 *ある場所の血管が拡張するとその場所の血流量は増える。
*いかなる場合にも脳の血流だけは確保しなければならない・・・脳の血流が途絶えると数秒で意識を失ない、数分で回復不可能つまり脳死となる。次に確保するのが腎臓と心臓。臓器の血流は必要に応じて変化する。臓器血流の調節は自律神経が行なっている。
*心臓は冠動脈により養われている・・・冠動脈は拡張期に流れる。冠動脈の血流不全が心筋梗塞や狭心症である。
*肝臓に行く血管には門脈と肝動脈とがある。
*リンパ管系は一方通行である・・・リンパ管は次第に太くなり最後は静脈に注ぐ。リンパ管の途中にはリンパ節がある。癌の中にはリンパ管を伝わって転移するものもある。