※糖尿病の症状
糖の利用の低下高血糖尿細管での吸収限界を超える尿中に糖が出現
                                            ↓
               体内脱水状態の出現←浸透圧の上昇←水分の排泄促進

糖の利用の低下:アミノ酸やグリセロールからの糖新生の亢進→体重減少

水分の排泄促進:多尿、頻尿
     体内脱水状態の出現:口渇


@薬を使う前に食事・運動療法を行い、その効果の度合いをみて、どのような薬物療法を行うかを考えるのがスタンダードなかたち

A経口薬で治療するか注射薬で治療するかは、基本的には糖尿病のタイプによって決める。

1型糖尿病(Type 1) IDDM
(インスリン依存型)

膵β細胞破壊に基づく糖尿病で、自己免疫機序、原因不明もの。
生命維持のためにインスリン注射が不可欠である。
主に幼児から15才以下の小児期に、比較的急激に発症。

2型糖尿病(Type 2) NIDDM
(インスリン非依存型)

膵β細胞からのインスリン分泌低下と、肝臓、筋肉や脂肪組織におけるインスリン抵抗性による。高血糖状態が持続すると、インスリン抵抗性を助長し、これがインスリン分泌を低下させるという悪循環になる。
その治療にかならずしもインスリンを必要としないもので、日本人の糖尿病の90%を占めている。

その他の特定機序、疾患による糖尿病

遺伝子異常が解明されたもの。他の疾患や状態に伴うもの。

妊娠糖尿病

妊娠中に発病、あるいは発見された耐糖異常


A経口薬で治療するか注射薬で治療するかは、基本的には糖尿病のタイプによって決める。

B経口薬の主役はスルホニルウレア系で、ピグアナイド系はあまり使われない。
膵臓からのインスリン放出を刺激してインスリン分泌を促進。

C高齢者や腎機能が低下している患者には、作用時間の長い薬は使用されない。

D新しいタイプの血糖値を改善する薬α-glucosidase inhibitorsは、食後の急激な血糖上昇を抑え、血糖値の日内変動を小さくする。

Eインスリン注射薬はIDDM患者に必須だが、製品により1ml中の含量や作用時間、
動物から抽出したものかヒト型のものかなど、それぞれ違った特徴をもっている。
Fどのインスリン製剤を使うかは、健常者のインスリン分泌にできるだけ近いインスリン血中濃度パターンになるように考えて決定する。
Gインスリン注射による副作用についても十分理解し、患者指導を行う。

分類

製剤

内容など

作用時間

作用開始時間

超速効型
(Ultra short acting)

insulin lispro
insulin aspart

ヒトインスリンB鎖C末の
アミノ酸2ヶを置換し、
6量体から単体に解離しやすく
したもの。

5hr

15-30min

速効型
(Fast acting)

regular insulin
semilente insulin

可溶性結晶zinc insulin
無結晶insulin + zinc ions

6-18hr

1hr

中間型
(Intermediate acting)

isophene insulin(NHP)
lente insulin

insulin + protamine
30% semilente + 70% ultralente insulin

18-24hr

2hr

持続型
(Long acting)

ultralente insulin
insulin zinc protamine

難溶性結晶zinc insulin

36hr

7hr


H糖尿病による合併症の治療薬として開発されたキネダックは神経障害の治療に期待されるが、3か月の服用が最低限必要。

Iある程度のインスリンが分泌されているのに血糖値が下がらないタイプのNIDDMに効果的なインスリン抵抗改善薬。肝機能障害が心配なので定期的に血液検査する。

J高血糖の状態を放置しておくと、恐ろしい合併症がおこる。失明する場合もあれば、死期を早めることもある。合併症が出るということは、すでに症状がかなり進行している。
合併症で代表的なものは、● 神経障害 ● 網膜症 ● 腎 症で、3大合併症といわれている。それ以外にも、脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・糖尿病性壊疽・感染症などがある。
糖尿病治療薬

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